贈与税がかからない財産(贈与税の非課税措置)③
贈与税がかからない財産の最終回です。
この最終回では、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」及び「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」についてみていきます。
両者ともに細かな要件が多く複雑なので、概略のみにとどめ、皆さんに要点を掴んでいただくことを主眼にします。
実際に適用を考える際には専門家に相談をお願いします。
●直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
• 概要
父母・祖父母である贈与者が、金融機関の子・孫(0歳~29歳で合計所得金額が1000万円以下の者に限る)の名義の専用口座に教育資金を拠出した場合には、1500万円を限度として非課税になります。
贈与を受けた子・孫の教育資金を専用口座から必要に応じて使っていくことになりますが、子・孫が30歳を迎えてしまったときに残高がある場合には、その残高に対して贈与税が課されます。
また、子・孫が30歳を迎えるまでに、贈与者である父母・祖父母が死亡してしまった場合には、死亡時の残高が相続財産に加算されます。
• 教育資金の範囲
1.学校等に対して直接支払われる次のような金銭
①入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学(園)試験の検定料など
② 学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
(注) 「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校及び各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園又は保育所などをいいます。
2.学校等以外の者に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるもの
③ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
④ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
⑤ ③の役務の提供又は④の指導で使用する物品の購入に要する金銭
(注) 受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われる③~⑤の金銭については、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限ります。
⑥ 学校等が必要と認めたもので、物品等の購入をするための金銭
⑦ 通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費
●「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
• 概要
父母・祖父母である贈与者が、金融機関の子・孫(18歳~49歳で合計所得金額が1000万円以下の者に限る)の名義の専用口座に結婚・子育て資金を拠出した場合には、1000万円を限度として非課税になります。
贈与を受けた子・孫の結婚・子育て資金を専用口座から必要に応じて使っていくことになりますが、子・孫が50歳を迎えてしまったときに残高がある場合には、その残高に対して贈与税が課されます。
また、子・孫が50歳を迎えるまでに、贈与者である父母・祖父母が死亡してしまった場合には、死亡時の残高が相続財産に加算されます。
• 結婚・子育て資金の範囲
1.結婚に際して支払う次のような金銭(限度額300万円)
• 挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用
• 家賃、敷金等の新居費用、転居費用
2.妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭。
• 不妊治療・妊婦健診に要する費用
• 分べん費等・産後ケアに要する費用
• 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など