相続対策の3本柱とは?

相続対策の3本柱

相続対策というと、節税のことを思い浮かべる方が多いのですが、「節税対策」は相続対策の3本柱の一つに過ぎません。
遺産分割を巡って子どもや親族が争うことにならないように「遺産分割対策」をすることが必要ですし、子どもや配偶者等の相続人が相続税の納税資金に困らないように「納税資金対策」をすることも必要です。
「遺産分割対策」・「納税資金対策」・「節税対策」を相続対策の3本柱であると認識して、バランス良くトータル的に対策することが重要です。

相続で問題がおきることが多いケース

被相続人となる方(財産を残す方)が、
1.会社のオーナーである方
2.財産に占める土地の割合が多い方
3.現金や金融資産が多い方
である場合には、「遺産の分割を巡っての相続人同士の争い」や「納税資金の不足」・「相続税額が多額になる」という問題は生じやすい傾向にあります。以下、それぞれのケースについて見ていきます。

1.会社のオーナーである方

その所有している会社の株式も相続財産となることから、以下のような問題が生じるケースがあります。

会社のオーナーの椅子

(1)よくある問題

①株式の相続税評価額が高額なため、後継者が株式を取得できない

(相続税が高額になり支払うことができない)

株式の相続税評価額は、出資した資本金の額ではありません。財産評価基本通達にその評価方法は定められていますが、1株5万円の額面の株式の評価額が100万円だったり200万円だったりすることも珍しくはありません。
例えば、A社長が1000万円を出資(1株5万円額面で200株をA社長が所有)したB社の株式の評価額が200万円だったとすると、200万×200株=4億円となります。A社長の相続財産がこのB社株式の他は預金が5000万であり、B社の後継者となる長男CがB社株式200株とその預金5000万を相続したとすると、相続税額は1.5億円ぐらいになります。
長男Cが預金を1000万しかもっていなかったとすると、自分の預金と相続した現金を合わせても6000万円しかないため、相続税を支払うことができず、B社を承継することができないという問題が生じます。

②相続財産の大半が自社株式であるため、兄弟間で相続を巡り争いが生じる

上記のA社長のケースで、長男Cの他に次男Dと三男Eがいたとしましょう。
後継者である長男CがB社を安定的に経営していくためには、B社の株式の過半数以上を取得する必要があります。
仮に、長男CがB社株式の70%にあたる140株を取得しようとすると、長男が140株×200万=2億8千万を相続し、次男Dと三男Eがそれぞれ8500万ずつを相続することになります。
これで次男Dと三男Eが納得すればいいのですが、納得できなければ相続を巡って兄弟で揉めることになります。
また仮に、長男C・次男D・三男Eで法定相続分どおりに財産を分けるとすると、4億5千万(自社株式4億+預金5千万)を均等に3分割して1億5千万になるので、長男CはB社の株式を議決権の37.5%である75株しか取得できず過半数に達しません。
B社の株式は後継者である長男Cの他、次男D・三男Eも保有することとなり、経営方針を巡って兄弟で揉める要因になります。

(2)対策の概要

①自社株式の評価額の圧縮

自社株式の評価額を圧縮する対策を行います。上記の例では、1株200万円の評価が100万円になれば、B社株式の相続税評価額は4億円から2億円に圧縮され、長男CがB社株式を取得しやすくなります。

②遺産分割対策

相続人の間で揉めないように遺産分割を行うために対策を行います。上記の例でいえば、長男CがB社株式の過半数を取得したうえで、次男Cと三男Dが納得できるような遺産分割ができるような対策を講じることになります。

③納税資金対策

生命保険などを上手に活用して、納税資金が確保できるようにプランニングし対策します。

2.財産に占める土地の割合が多い方

以下のような問題が生じるケースがあります。

(1)よくある問題

①納税資金が不足するので土地建物を売却せざるをえない

相続財産に占める土地の割合が高い場合には、土地や家屋を売却しないと相続税を支払うことができないという問題が生じるケースがあります。
売却することに問題がなければいいのですが、先祖代々からの土地がなくなってしまう、残された妻の住む家がなくなってしまう等、土地や家屋を手放したくないケースもあります。

②相続税が高すぎてびっくり、何か対策をしておけばよかったと後悔

親の財産をきちんと把握している子どもは少ないものです。
土地を親が持っていることは知っているけれど、土地の相続税評価額がどれぐらいになるのか、相続税がいくぐらいかかるのか把握している子どもは希でしょう。
親が亡くなり、実際に相続税の申告をする際に初めて知る方がほとんどです。
土地は、相続財産額に占める割合がナンバーワンの財産でその価額も大きく、事前に何か策を講じておけばよかったと後悔する方が少なくありません。

(2)対策の概要

①納税資金対策

生命保険などを上手に活用して、納税資金が確保できるようにプランニングし対策します。

②節税対策

相続の対象となる不動産の現状分析、不動産の有効活用など用途の見直しなど、プランニングして対策します。

3.現金や金融資産が多い方

以下のような問題が生じるケースがあります。

現金や金融資産が多い方

(1)よくある問題

相続税を算出するときの財産の評価額(相続税評価額)は、各々の財産を「財産評価基本通達」に定められている計算式にのっとって金銭的価値に置き換えて算出します。

例えば、土地ならば路線価をもとに評価額を算出します。
路線価をもとに計算した相続税評価額が実勢価額を下回ることも多くあります。
仮に、実勢価額は1億円、相続税評価額が7千万ならば、1億円の現金でこの土地を買えば、相続税を計算するにあたっては3千万円(1億と7千万の差額)の圧縮効果があるというわけです。
それに比べて現金や預金などのキャッシュには相続税の圧縮効果はありません。1億円の預金はそのまま1億円の相続税評価額となります。
現金や預金などのキャッシュが多ければ多いほど相続税額が膨らんでいきます。

 

(2)対策の概要

①資産の組み替え

現金や預金などを、土地や建物などの相続税の圧縮効果がある資産に組み替えることで財産評価額を圧縮します。土地や建物の用途によっては、実勢価額と相続税評価額の差額分に加え、小規模宅地等の特例の適用を受けることにより、評価額が50%もしくは20%になることもあり得ます。

②生前贈与

贈与税の基礎控除(年間110万円までの贈与は贈与税非課税)を利用して、生前に相続人(子や孫)に現金を贈与すれば、相続財産は圧縮できます。
年間110万円を超えて贈与した場合でも、贈与額が大きくなければ贈与税は少額ですみます(例えば年間300万円の贈与であれば贈与税は19万円)。
毎年少しずつ生前贈与していけば、結果として大きな相続税の圧縮になります。また、住宅取得資金、教育資金、結婚・子育て資金を一括贈与することで、贈与税が一定金額まで非課税とされる制度を活用することもあります。

③生命保険の活用

様々な生命保険を活用することで、節税効果を得ることが可能です。

当社のご提供するサービス

相続対策についてコンサルティングを行います。

案件の内容により必要があれば、当社と提携関係にある会社(相続税や贈与税であれば資産税に強い税理士、土地評価であれば土地評価の専門集団、自社株の評価であれば株価圧縮の専門集団など)と共同してコンサルティングにあたります。

ご提案内容にご納得いただけましたら、ご契約の後コンサルティングを開始いたします。
①ご相談は無料です。

まずは状況をお聞かせください。

②ご提案とお見積もり(無料)

問題解決策をご提案させていただきます。
ご提案にあたっては、お見積もりも添付いたします。

③コンサルティングの開始

ご提案内容にご納得いただけましたら、ご契約の後コンサルティングを開始いたします。