土地や建物の相続税法上の評価額④(建物編)

建物

土地や建物の相続税法上の評価額はどのように算定されるのかについて3回についてみてきましたが、今回がその最終回となります。今回は建物について説明します。
その建物を、自分で使っている(自用家屋)か、人に貸しているのか(貸家)で評価額が違ってきます。

<自用家屋の場合>

自用家屋の評価額は、「固定資産税評価額×1.0」と定められています。つまり、固定資産税評価額そのものが自用家屋の相続税評価額となります。
固定資産税評価額は、市役所等に「固定資産評価証明書」を発行してもらうことで分かりますが、例年5月ごろに送られてくる「固定資産税の納税通知書」を見ればその中に記載されていますので、その通知書で確認することもできます。固定資産税評価額は、一般住宅では公示価格の70%程度だといわれていますので、新築など築年数が浅井場合には、仮に2000万円で住宅を建てたなら、1400万円が固定資産税評価額になると大雑把にあたりをつけることができます。

<貸家の場合>

アパートなどを建てて家賃収入を得ている場合など、居宅・店舗等を貸し付けて不動産所得を得るための家屋のことを貸家といいます。
貸家の評価額は、「固定資産税評価額- 固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合」で計算できます。
借家権とは、入居者が建物を借りる権利のことであり、借家権割合とは、その家屋の権利のうち貸家が何割を占めるかを示す数字です。なお2022年5月の段階で、借家権割合は全国一律で30%に設定されています。Dさんが所有しているアパート(部屋数は10室で8室が入居中)の相続税評価額を計算してみましょう。このアパートの固定資産税評価額が2000万だったとすると、2000万-2000万×0.3×0.8(賃借割合は8/10で0.8)=1520万となります。アパートの借家人たちが、2000万×0.3×0.8=480万の借家権をもっているから、Dさんが持っているアパートの評価額は、その借家人たちの借家権分を引いた価額になると考えていただければわかりやすいと思います。



4回に渡って土地や建物の相続税法上の評価額がどうように計算されるかについてみてきました。
皆さんにわかりやすく説明することを目的としているために、敢えて細かなルールや専門用語は省いてきました。
ここでは紹介していないルールや要件を適用しないと評価額を算定できないこともありますので、厳密に評価しなければならない場合には、私どもや専門家にご相談いただけるようお願いいたします。

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