土地や建物の相続税法上の評価額①(土地:自用地編)
土地や建物の相続税法の評価額は、取得価額とは異なります。1億円で土地を買ったとしても、相続税の申告をするうえでの評価額は1億円とはなりません。
今回から数回にわたって、土地や建物の相続税法上の評価額はどうやって決まるのかについてお話してみたいと思います。
概要を大掴みでご理解いただくことを目的にお話したいと思いますので、厳密さや細かな点における正確性には欠ける部分もありますので、その点はご理解いただきお読み下さい。
今回は、自用地の評価額について説明します。自用地とは、自宅が建っている土地等、他人が使用する権利がない土地のことです。
他人が使用する権利がない土地というと少しわかりにくくなってしまいますが、賃貸などの契約によって他人に貸し出したりしていない土地だと言うと少しイメージがつきやすいのではないでしょうか。
例えば更地にアパートなどの賃貸用の建物を建てた場合は貸家建付地と呼び、自用地よりも評価額が下がります。
土地の評価額の基本として、自用地の評価額を押さえましょう。
<自用地の評価額>
土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
•国税庁のホームページでは以下のように記載されています。
(イ) 路線価方式
路線価方式は、路線価が定められている地域の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことで、千円単位で表示しています。
路線価方式における土地の価額は、路線価をその土地の形状等に応じた奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。
(ロ) 倍率方式
倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。
倍率方式における土地の価額は、その土地の固定資産税評価額(都税事務所、市区役所または町村役場で確認してください。)に一定の倍率を乗じて計算します。
•国税庁ホームページの記載の補足
道路1本1本に路線価という価格が定められています。路線価は国税庁が毎年7月1日に発表しています。評価したい土地が面している路線価がいくらなのかは、国税庁のホームページに掲載されています。
調べた路線価に土地の面積をかければ評価額が算出できます。上記の例の土地でいえば、路線価は30万円で180平方メートルの土地なので、路線価30万円×面積180m2=評価額5400万円となります。
なお、奥行価格補正率とは、その土地の奥行距離に応じて「奥行価格補正率表」によって定められている補正率です。奥行が極端に短い場合や長い場合は、利用しにくく用途も限られるため「奥行価格補正率」で評価額を調整していると考えてください。
上記の例の土地では奥行が18mあり「奥行価格補正率」は1.00ですが、奥行が仮に5mしかなかったとする「奥行価格補正率」が1.00ではなく0.92となり、路線価30万円×奥行価格補正率0.92×面積180m2(間口36m・奥行5mと仮定して)=評価額4968万円となり評価額が下がります。奥行が5mだと土地として使いにくくなるため、評価額も下がったというように考えてください。
なお、この補正率には、奥行価格補正率だけではなく、間口狭小補正率、不整形地補正率ほか、いくつかのものがあります。
また参考までに、路線価は土地取引の指標となる公示地価(地価公示価格)の8割程度の価格となっていることが多いです。
路線価が定められている道路に面している土地に関しては、路線価方式により評価額を求めればいいのですが、路線価は日本全国すべてに定められているというわけではありません。
都市部ではなく地方や郡部になれば定められていない場合も多いです。路線価が定められていない場合には、倍率方式を適用して評価額を求めます。
評価額を知りたい土地の固定資産税評価額に、評価倍率表に定められている倍率を乗じて算出します。固定資産税評価額は市役所等で確認することができ、評価倍率は国税庁のホームページに掲載されています。
例えば、固定資産税評価額が500万円で、評価倍率が2倍の土地であれば、500万×2倍=1000万円が評価額ということになります。
次回のブログでは、自用地の評価をベースとして、他人に土地を貸している場合(貸宅地)、アパートなどを建てて建物を他人の貸している場合(貸家建付地)の評価を見ていきます。