第三者に事業承継したときのメリットとデメリット

M&A

事業の承継先は大別すると3つしかありません。
子供(親族)、従業員、第三者のうちのどれかです。
前々回は子供(親族)に承継する場合前回は従業員に承継する場合のメリットやデメリットについて述べましたが、今回は第三者に承継する場合のメリットやデメリットについて考えてみます。
第三者へ承継する方法については、会社外部から招き入れた後継者に事業を承継する方法もありますが、ここでは外部の個人や法人に会社(株式)を売却する方法(いわゆるM&A)について述べます。

従第三者に承継する場合(M&A)のメリット業員に承継する場合のメリット

  1. 幅広く外部から引継ぎ候補を探すことができる。
    社名を残して欲しい、従業員はそのまま雇用して欲しい、株式の譲渡金額はこれぐらい欲しい等、希望の条件を出して買い手先を探せる。
  2. 買い手への株式譲渡を通して、オーナー経営者が株式の売却益を得ることができる。
  3. オーナー経営者の個人保証を解消することができる。
  4. 買い手との相乗効果(シナジー効果)によって、売り手の事業の成長・発展が期待できる。
    また、将来性のある企業に事業を委ねることにより、事業継続や拡大を望むことができる。

第三者に承継する場合(M&A)のデメリットや留意事項

  1. 幅広く外部から引継ぎ候補を探すことができる反面、売却金額や従業員の処遇などの条件によっては、希望通りの買い手を見つけるのが難しい場合もある。
  2. 株式の売却代金が入ってくるものの、M&A仲介会社への手数料、株式譲渡契約をサポートしてもらう弁護士への手数料、株式譲渡益に対する税金等、それなりの経費もかかる。
    また、デューデリジェンス(買い手による譲渡対象企業に対する事前調査)への対応に多くの手間と時間をとられる。
  3. 買い手の企業文化と売り手の企業文化が違う場合も多く、M&A実施後における企業文化の融合や社内システムの変更に時間がかかり、社内に混乱が生じる可能性がある。
    また、買い手の企業文化や経営方針に不満を抱く従業員が退職し、業務運営に支障が生じる可能性もある。
  4. M&A実施後の買い手の経営方針によって事業内容や契約内容に大幅な変更が発生すると、既存の取引先とトラブルに発展してしまうことがある。
    また、従業員に対する労働条件に変更があった場合には、待遇に不満をいだく従業員が外部に流出してしまう可能性もある。

いかがでしたでしょうか。
メリットやデメリットに中には、読者が既に頭に入っていたものもあれば、頭にはなかったものもあったと思います。
それぞれのメリットやデメリットを勘案して、承継には時間をかけたしっかりとした準備が必要となります。
外部から第三者の専門家を入れて進めていく方が良いケースもあります。
お困りの場合は、お気軽にご相談ください。

相続・事業承継に関するお問い合わせ・ご相談フォームはこちら