事業承継において真っ先に考えるべきことは・・・
先日ある社長さんからご相談を受けました。「一人娘(大学在学中)に将来事業を継いでもらうのに越したことはないが、女性であるうえ性格が経営に向いていないように感じるし、従業員にそれなりの力量がある者も数名いるが社長の器かと言われると難しいと思うし、娘の就職が近づくにあたり自分自身の心づもりを整理しておいた方がいいと考えるのだが行き詰まってしまって、果たしてどうしたものか。」という内容でした。
同様のお悩みをもっておられる経営者の方も多数おられると思います。
事業を誰に承継するかということを考えてみると、承継先は大別すると3つしかありません。
子供、従業員、第三者のうちのどれかです。
もちろん、仮に子供だとしても長男なのか次男なのか長女なのかを決めないといけないし、従業員だとしてもどの従業員なのかを決めないといけないし、第三者(M&A)だとしても友人の経営者なのか同業の会社な
のかまったく異業種の会社なのか、選択肢がそれぞれあり固有名詞で承継者が決まるわけではありません。
ただ、固有名詞で決まらないとしても、子供なのか従業員なのか第三者なのかという大きな方向性が決まらない限りは、事業承継をうまく進めることは難しいと言わざるを得ません。
なぜならば、子供なのか従業員なのか第三者なのかによって、準備することも違ってくるし、注意すべきことも違ってくるし、具体的にやることも違ってくるからです。
株式の承継という側面では、子供が承継する場合は、贈与税の納税を意識した検討や対策が必要になり、従業員が承継する場合は、当該従業員が株式を譲渡により取得するための資金調達を意識した検討や対策が必要となり、第三者が承継する場合は、希望する条件を出来る限り満たしうるM&Aの相手先をみつけることが課題となります。
また、事業を承継した新オーナーの元でいかに円滑に事業を動かしうるかという側面においても、子供なのか従業員なのか第三者なのかによって準備し対策することは大きく違ってきます。
それゆえ、事業承継においてオーナーである社長が真っ先になすべきことは、承継先が子供なのか従業員なのか第三者であるのかということを決断することです。
決断するにあたっては、子供や従業員が経営者としての適性(当人の意思や能力も含め)があるかを判断することは大切なことですが、子供、従業員、第三者に承継したときのメリットやデメリットを把握しておくことも大切です。
次回以降のブログでは、各々の場合のメリットやデメリットについて3回に渡って述べてみたいと思います。