会社オーナーの皆さん、皆さんは自分の会社の株式の価額をご存じでしょうか?「知らない」「算定したことはない」という方が殆どなのではないでしょうか。株式の相続税評価額は、出資した資本金の額ではありません。財産評価基本通達にその評価方法は定められていますが、1株5万円の額面の株式の評価額が100万円だったり200万円だったりすることも珍しくはありません。業績のよい会社ほど、その評価額は高いのが一般的です。
では、自分の会社の株式の評価額が高いと、いったいどんな問題が生じるのでしょうか?株式の財産評価額が高額になると、以下に述べるような様々な問題が生じます。
株式の財産評価額が高額になると、それに伴って贈与税額・相続税額も非常に高額になります。例えば、A社長が1000万円を出資(1株5万円額面で200株をA社長が所有)したB社の株式の評価額が200万円だったとすると、200万×200株=4億円となります。会社を後継者である長男Cに承継させるために、A社長が長男Cに200株すべてを贈与すると贈与税は2億円を超えます。
上記の例で、2億円超の納税資金を用意できなければ、長男Cは贈与により株式を取得できません。これは、A社長から後継者である長男Cへの事業承継ができないということを意味します。過半数の101株の贈与でも、3分の2超134株の贈与でも、それに対応する高額な贈与税を後継者が用意できなければ、株式を承継できません。ここでは、贈与を例にあげましたが、相続の場合でも後継者が相続税を納税できなければ同様です。また、譲渡により後継者に株式を承継しようとしても、後継者が譲渡資金を用意できなければやはり承継できません。
上記のA社長が200株すべてを保有したまま亡くなったとしましょう。A社長の財産は会社の株式(4億円)と自宅の土地・建物(1億円)と預金(1億円)だったとしましょう。A社長には後継者と目される長男Cの他、次男Dと三男Eがいたとします。長男Cが株式を相続して会社を承継し、自宅と預金を次男Dと三男Eで相続するということで遺産分割協議が成立すれば問題はないのですが、取得額は長男Cが4億円、次男Dと三男Eがそれぞれ1億円ですから、次男Dと三男Eが納得するかどうかはわかりません。法定相続分どおり3人が2億円ずつを相続ずることになり、長男Cが株式2億円、次男Dが株式1億円と自宅、三男Eが株式1億円と預金を相続することになったとすると、後継者である長男Cは50%しか株式を保有することができず、過半数に満たないため会社運営に支障をきたします。「重要事項で株主の意見が分かれる」「迅速な決済ができない」等、後継者が議決権の過半数を握れないことで会社の業績が悪化することもあります。
上記の例のような場合、遺産分割を巡って兄弟間で紛争になるようなことも考えられます。
後継者である長男Cが会社の株式の大半を取得することを強く主張した場合に、次男Dや三男Eが反発して兄弟間で決裂するようなパターンです。また、兄弟3人の株主(長男C50%、次男D25%、三男E25%)で会社の運営方針を巡って対立が起こり、兄弟間で紛争が生じることも考えらます。
これまで見てきたように、自社の株式の株価が高い場合には、事業承継上さまざまな問題が生じます。スムーズな事業承継を行うためには、自社の株式を引き下げる対策が必要となります。財産評価基本通達における株価の算出方法を詳しく説明することはここでは省略しますが、損益計算書上の利益が圧縮できれば株価は圧縮され、貸借対照表上の純資産額が圧縮できれば株価は圧縮され、時価純資産価額(ある時点での全ての資産の相続税評価額から全て負債の相続税評価額を引いた額)が圧縮できれば株価は圧縮されると大掴みしておいて下さい。株価を引き下げるための施策として一般的には、組織先編、利益圧縮、資産管理などの手法がよく使われます。
株式交換、株式移転、会社分割、合併など組織再編を行う(例えば持株会社を創設するなど)ことにより経営上のメリットを得つつ、組織再編に伴う株価の圧縮効果を享受する方法です。
役員退職金の支払い、法人向け生命保険の活用、短期の前払費用の損金計上、決算賞与の支給、役員報酬の増額、企業年金への加入、オペレーティング・リースの活用などの方法により一時的に利益を圧縮します。
資産を処分すること(例えば、5千万の含み損がある遊休資産を処分すれば5千万圧縮)、資産を組み替えること(例えば、取引上の時価(1億)よりも相続税評価額(5千万)が低い賃貸用不動産を購入すれば5千万圧縮)により純資産価額を圧縮します。
一般的な株価圧縮の手法を紹介してきましたが、どのような方法をとるのがいいのかは、個々の会社の状況により異なります。株価の圧縮効果だけで判断するのではなく、対策を実施することによる経営への影響や会社運営上のメリットデメリットも考慮する必要もあります。また、事業承継という視点にたって考えれば、新事業承継税制や家族信託など、株価圧縮とは別の手法を活用した方がいいという場合もあるでしょう。まずは、専門家にご相談されることをお勧めします。
株価が実際に圧縮されるまで貴社に帆走します。 案件の内容により必要があれば、当社と提携関係にある会社(株価圧縮であれば株価圧縮の専門集団、事業承継税制の活用であれば事業承継税制の専門集団、家族信託の活用等であれば家族信託の専門集団)と共同してコンサルティングにあたります。
まずは貴社の状況をお聞かせください。
現状での株価はいくらなのか概算額を算定させていただきます。算定結果をもとに貴社にとってベターな方法をご提案させていただきます。ご提案にあっては、今後のお見積もりもさせていただきます。
ご提案内容にご納得いただけましたら、ご契約の後コンサルティングを開始いたします。