事業承継に何も手を打たない社長、行く末はどうなることやら?

お付き合いのある社長さんから、「息子にうまく会社をバトンタッチする方法はないのかなあ」と数年前にご相談を受けました。
相談と言っても、お酒を飲みながら色んなお話をしている中での話題の一つだったので、ちょっとした心配事を社長は仰ったのだと思います。
社長(65歳を超えています)には2人の息子さんがいます。
1人は離婚した前の奥様との間にできた子供で既に成人して結婚もしています。
もう1人は今の奥様との間にできた子供でまだ中学生です。
この中学生の子供さんにゆくゆくは会社を継がせたいのだが、成人するまででも10年近くもあるし、社会経験をつみ社長の任務を果たせるとなると20年以上先のことになるので、社長自身の年齢や健康のことを考えるとどうしたものか、というお話でした。

社長は営業一辺倒でたたきあげてきた方で、事業承継や相続についての知識は一切もってらっしゃらないので、「素面のときに改めてお伺いします。じっくりとご相談になります。」とお答えし、社長も「ぜひよろしく」とのことでした。
私は「相談してくれて本当に良かった」と思いました。
なぜなら現状のままではリスクが多すぎると以前から心配していたからです。
社長は持病をお持ちでしたので万が一のことも考えられます。
また、認知症になったときのことも社長の年齢からすると考えておかないといけません。

何も手を打たなければ、

1. 息子2人で社長の財産をめぐって争いがおきる可能性がある(両方の息子さんに母親がついているので余計にややこしい)。

2. 前妻の息子さんが会社を継ぎたいと思えば、現妻の息子さんが会社を継ぐという社長の意志がかなわない可能性がある。

3. 会社の株のすべてを現妻の息子に譲るという遺言を書いても、前妻の息子が遺留分の請求をすれば、支払うべき現金の手当ができていない。

4.現妻の息子が社長をつぐということが兄弟間でまとまったとしても、息子が成長して社長としての職責を果たせるようになるまで、誰が会社の舵取りを行うのか決まっていない。舵取りに失敗すれば会社が存続しないかもしれない。

というような問題が手つかずのまま残り、現妻の息子さんが会社を継ぐという社長の想いの実現がおろか、親族間での紛争、それを起因とした会社の存続の危機、に見舞われるリスクが多分にあります。

その後、社長からご連絡がなかったので、私の方からアポイントを取ろうとしたのですが、「今から自分の死んだことを考えるのは縁起が悪い」「まあ何とかなるでしょう」と仰るので、そのままの状態で今に至っています。

何も手を打たないのに何とかなる、はありません。そればかりか自分が残した財産が基で親族が揉める可能性だってあります。
元気なうちに、事業承継をどうするのか、財産をどのように分けるのか、きちっと考えて道筋をつけておくのが、先に旅立つものの責務だと思うのですが・・・
さて、この社長の会社の事業承継、この先どうなることやら。今のところ遠くから心配しているより他ありません。